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給排水管・給湯管・配管のライニング工事とは?気をつけるべき知識や工法など、わかりやすく解説

目次

    1. 給排水管の役割
    2. 給排水管が劣化する原因
    3. 給排水管の劣化によるトラブル
    1. ライニング工事(更生工事)とは
    2. 配管の更新工事とは
    3. ライニング工事と更新工事の違い
    1. 塗布ライニング工法
    2. FRPライニング工法
    3. その他のライニング工法
    1. 事前の調査と診断
    2. 実際の施工の流れ

建物に重要な給排水管は時間の経過とともに劣化し、さまざまなトラブルを引き起こすことがあります。こうしたトラブルを未然に防ぐための対策として、既存の配管の内側に特殊な樹脂などで新たな層を形成することで、配管を延命させる方法が「ライニング工事」です。ライニング工事とはどういう工事なのか、本記事では、配管の基礎知識から施工方法、そしてもう一つの主要な改修方法である更新工事との比較について詳しく解説します。

給排水管の基礎知識

私たちの日常生活に不可欠な水を供給し、使用済みの水を排出する役割を担っているのが給水管と排水管です。それぞれ異なる材質や構造を持ち、用途や設置場所に応じて使い分けられています。適切なメンテナンスを行わないと、これらの配管は経年により劣化し、さまざまな問題を引き起こす可能性があるため、基礎知識を理解しておくことが重要です。

給排水管の役割

給水管は、水道局から送られてくる水を建物内に引き込み、キッチンやお風呂、トイレなどの蛇口まで安全な水を供給する重要な役割を担っています。一方、排水管は、これらの場所で使用された汚水や雑排水を建物外の下水道や浄化槽へ排出する役割を担っています。
給湯管は、給水管から送られてきた水を給湯器で温め、お湯として供給するための配管であり、給水管とは別に設置されることが一般的です。これらの配管は私たちの生活を衛生的かつ快適に保つために不可欠な存在です。給水管、排水管、給湯管といった配管は、それぞれ異なる役割を担いながら、建物内の水回りを機能させています。浄水場から送られてきた水が給水管を通り、給湯器で温められたお湯が給湯管を通って各所に供給され、使用後の水は排水管を通って排出されるという役割をまずは覚えてください。

給排水管が劣化する原因

劣化する原因はいくつかあります。まず、配管の材質自体が時間の経過とともに劣化することが挙げられます。特に金属製の配管は、内部でサビや腐食が発生しやすいため、水質劣化の要因ともなります。
配管の材質が金属製ではない場合、水に含まれる物質が配管の内壁に付着し、スケールやスライムを形成し、水の流れが悪くなったり、配管が閉塞したりすることもあります。また、水質によっては配管の腐食を進行させる場合もあります。外部からの衝撃や振動、紫外線なども配管の劣化を早める要因です。特に屋外に設置されている配管は、これらの影響を受けやすいため注意が必要です。

給排水管の劣化によるトラブル

給排水管の劣化を放置すると、様々なトラブルにつながります。最も一般的なのが、サビや腐食による赤水の発生です。これは、配管内部で発生したサビが水に混じり、蛇口から赤や茶色の水が出てくる現象です。
また、配管の内側に付着・堆積するスケールやスライムによって、水圧の低下や悪くなった水の流れを放置すると、さらに劣化が進み、配管に穴が開いたり(ピンホール)、ひび割れが生じたりして漏水を引き起こす可能性があります。漏水は建物の構造材を腐食させたり、カビの発生を招いたりするだけでなく、集合住宅では下階への漏水事故につながるなど、深刻な事態に発展するため、放置せず早急な対処を心がけてください。

給排水管の改修方法:更生工事と更新工事

劣化した給排水管を改修する方法としては、主に「ライニング工事(更生工事)」と「更新工事」の2種類があります。どちらの工法を選択するかは、通常、配管の劣化状況や建物の構造、費用などを考慮して決定します。それぞれの工法には特徴があり、施工方法も異なります。

ライニング工事(更生工事)とは

ライニング工事は、既存の給排水管を撤去せずに、配管の内側に新たな層を形成することで配管を補修・延命させる工法で、更生工事とも呼ばれます。具体的には、配管内部を清掃・研磨してサビや汚れを除去した後、エポキシ樹脂などの特殊な塗料やライニング材を流し込み、硬化させて新しい管路を形成する工法です。この新しい層が配管の内壁を保護し、サビの再発生や腐食の進行を抑制します。ライニング工事は、配管を交換する場合に比べて工事期間が短く、費用も比較的安価で済むというメリットがあります。また、壁や床を大きく解体する必要がないため、居住者への影響を最小限に抑えながら施工できます。
ただし、配管の劣化が著しい場合は適用できないことがあるので、注意が必要です。

配管の更新工事とは

更新工事は、既存の給排水管を撤去し、新しい配管に交換する工法です。これにより、配管を完全に新品の状態に戻すことができます。更新工事は、配管の劣化が激しくライニング工事では対応できない場合や、配管の寿命が尽きた場合などに選択されます。
マンションやビルの場合、共用部分だけでなく、専有部分の配管もまとめて交換することが一般的です。施工にあたっては、壁や床の一部を解体して配管を取り外し、新しい配管を設置し直す作業が必要となります。その後、解体した部分の内装を復旧します。更新工事は、ライニング工事に比べて工事の規模が大きく、工期も長くかかる傾向があり、費用も高額になることが多いと言えるでしょう。

ライニング工事と更新工事の違い

双方の最も大きな違いは、既存の配管をそのまま利用するか、新しい配管に交換するかという点です。費用面では、配管をまるごと交換する更新工事に比べて、材料費や施工にかかる手間が少ないため、ライニング工事の方が更新工事よりも安価で済みます。また、工事期間が短いことも大きなメリットです。多くのケースで、数日から数週間程度で作業が完了すること、さらに、壁や床などの構造体を大規模に解体する必要がないため、工事中の騒音や粉塵も比較的少なく、居住しながらの施工が可能な場合が多いことから、マンション居住者またはビル建物の利用者への影響を最小限に抑えることができます。
一方、更新工事は、配管を完全に新しいものに交換するため、その後の耐用年数が非常に長いことが最大のメリットです。国土交通省のガイドラインでは、マンションの給排水管の更新時期を30年~40年と示しており、一度更新工事を行えば、長期にわたり安心して配管を使用できます。新品の配管材を使用するため、腐食や劣化の心配がなくなり、漏水や詰まりといったトラブルのリスクを大幅に低減できます。また、衛生面や安全面においても、新しい配管は高い基準を満たしているため安心感があります。

主なライニング工法とは

ライニング工事にはいくつかの工法があり、配管の種類や劣化状況、予算などに応じて最適な工法が選択されます。主な工法としては、塗布ライニング工法やFRPライニング工法などがあります。それぞれの工法は、使用する材料や施工方法に特徴があります。

塗布ライニング工法

塗布ライニング工法は、配管内部を清掃・研磨した後、エポキシ樹脂などの塗料を配管内に塗布して新しい層を形成する工法です。専用の機械を使用して塗料を均一に塗布することで、配管内壁の保護と劣化の進行抑制を図ります。この工法は比較的簡便で、狭い場所や複雑な形状の配管にも適用しやすいという特徴があります。施工費用も比較的安価に抑えられる傾向があります。ただし、配管の劣化が著しい場合や、肉厚の回復が必要な場合には不向きな場合があります。

FRPライニング工法

FRPライニング工法は、ガラス繊維強化プラスチック(FRP)を用いたライニング材を配管の内側に密着させて強固な層を形成する工法です。劣化が比較的進んでいる配管や、より高い強度や耐久性が求められる箇所に用いられることが多いです。光硬化性樹脂を使用する工法では、FRPを含浸させたチューブ状のライナーを配管に挿入し、光を照射することで短時間で硬化させます。この工法は、既存の管の中に新しい管を形成するイメージであり、高い強度と耐久性を実現できます。塗布ライニング工法に比べて費用は高くなる傾向がありますが、より長期的な効果が期待できます。

その他のライニング工法

上記以外にも、様々なライニング工法が存在します。
それぞれの配管の材質や劣化状況、用途に応じて最適な材料と工法が選択されます。セラミックスを用いたり、薬剤を添加したりする方法も、延命工法として挙げられます。
また、配管の種類によっても、選ぶべき工法や適用するべき工法があることも見逃せないポイントです。例えば、大阪ガスリノテックでは、給湯管に最適なCuteSL II工法(キュート・シャトル・ライニングII工法)や、給水管・排水管・空調配管など幅広く適用できるPIPS工法(ピップス工法)など様々な状況に合わせた技術を持っています。よければこちらの工法紹介のページもお読みください。

ライニング工事の施工プロセス

ライニング工事を適切に行うためには、事前の準備と正確な施工が不可欠です。一般的に、ライニング工事はいくつかの段階を経て進められます。

事前の調査と診断

ライニング工事を行う前に、まず対象となる配管の劣化状況を詳細に調査・診断します。これには、配管の一部を実際に切断して内部を確認する抜管調査や、ファイバースコープなどの内視鏡を用いて配管内部を撮影する調査などがあります。これらの調査により、配管の材質、劣化の程度、サビやスケールの付着状況、ピンホールの有無などを把握します。調査結果に基づいて、ライニング工事が適用可能か、どの工法が最適か、工事の範囲などを検討し、詳細な施工計画を立てます。

実際の施工の流れ

実際の施工は、まず建物の養生や機材の準備から始まります。必要に応じて、壁を開口し配管を切断します。次に、配管内部のクリーニングと下地処理を行います。専用の機械や工具を用いて、配管内壁に付着したサビやスケール、その他の堆積物を除去し、内壁を研磨してライニング材が密着しやすい状態にします。その後、選択した工法に従ってライニング材を配管内に塗布または挿入し、硬化させます。硬化後、ライニングが適切に行われたかを確認するための検査が行われます。最後に、開口部・切断部の復旧や清掃を行い、全ての工程が完了となります。施工中は、必要に応じて断水や排水制限が行われることがあります。

まとめ まずはライニング工事の検討から始めてみては?

ここまで、配管の劣化によるトラブルや、ライニング工事、更新工事についてご紹介してきました。
双方の最も大きな違いは、既存の配管をそのまま利用するか、新しい配管に交換するかという点です。費用面では、配管をまるごと交換する更新工事に比べて、材料費や施工にかかる手間が少ないため、ライニング工事の方が更新工事よりも安価で済みます。また、工事期間が短いことも大きなメリットです。
もし、マンションや建物の配管に関して、ご心配な点があるのであれば、まずは「ライニング工事」の検討から始めてみるのがおすすめです。
さらに詳しい情報が必要な場合や、具体的な状況に合わせた最適な工法について相談したいとお考えでしたら、ぜひ大阪ガスリノテックにご連絡ください。
大阪ガスリノテックでは、給水管、給湯管、排水管など、あらゆる種類の配管に対応した多様なライニング工法をご提供しています。これらの工法を駆使し、事前の綿密な調査・診断に基づき、お客様の配管の状況に合わせた最適なご提案をさせていただきます。
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